湿度に着目!気密性の高い家が「もわっと」しない理由
「エアコンをつけているのに、なんだか部屋がじめじめする…」。そんな風に感じたことはありませんか? 実は、この不快感の原因は「湿度」にあります。気密性の高い家は、どうして涼しく快適なのか。今回は、当社の事務所での実例を交えながら、その理由を解説します。
今朝、朝7時ごろのことです。
外気温は30℃、湿度73%。絶対湿度は22.2g/㎥という蒸し暑い空気でした。

今日も暑くなるんだろなーと思いながら事務所に入ると、気温29.1℃、湿度47%。数字だけ見るとあまり差がないように思えますが、絶対湿度は13.5g/㎥。

外にいたときと比べて、事務所に入った瞬間に「あ、涼しい!」と感じました。この涼しさの正体は、単なる温度ではなく「絶対湿度」の違いです。
絶対湿度とは、空気1立方メートルあたりに含まれる水蒸気の量をグラムで表したもので、湿気の量を示す数値です。この数値が少ないほど、空気はサラッとしていて涼しく感じられます。
- 外の空気:絶対湿度は22.2g/㎥
- 事務所の空気:絶対湿度は13.5g/㎥
外と事務所では、絶対湿度の差が9g/㎥近くもありました。この違いが「もわっと」するかどうかの大きなポイントだったのです。
気密性能が湿気の侵入を防ぐ
私たちの事務所は、C値0.6㎠/㎡ほどの性能で、住宅では最低限このくらいはほしいよねというレベルです。
C値というのは、家全体の隙間の大きさを表す「気密性能」の数値で、数字が小さいほど隙間が少なく、外の空気が入りにくい状態を示します。

夜間にエアコンを切っていても、朝、事務所内の絶対湿度は13.5g/㎥でした。これは、就業中にエアコンが除湿していた空気の絶対湿度11.2g/㎥からわずか2.3g/㎥しか増えていません。
このことから、C値が良い家は、夜間の湿気の侵入を抑えられていることがわかります。逆に、C値が高い(隙間が多い)家では、外の湿った空気がじわじわと室内に侵入してくるため、「なんだかジメジメする」と感じやすくなるのです。
玄関や窓を開けた際も、高気密な家なら湿った空気が一度に流れ込んでくるのを防ぎ、せっかく除湿した空気を守ってくれます。
高気密はエアコンの「除湿」効率を上げる
高気密な家は、エアコンの除湿効率も向上させます。 なぜなら、除湿された空気が外に逃げにくく、同時に新たな湿気も入ってこないからです。まるで**魔法瓶のように、**冷たくて乾いた空気をしっかりと保ってくれるため、少ないエネルギーで快適な状態を維持できます。
快適な夏の暮らしには、気密がカギ
人が「暑い」と感じるのは、気温だけでなく、湿度も大きく影響します。湿度が高いと体感温度も上がり、より蒸し暑く感じてしまいます。
これからの家づくりは、「エアコンを何台も使わないと涼しくならない家」ではなく、エアコン1台でも快適に過ごせる家が重要です。そのためには、C値0.5以下を目指す気密性能の確保と、湿度を考慮した空調計画が欠かせません。
私たち小椋建築では、気密・断熱・空調のバランスを考え、少ない設備で快適に暮らせる住まいをご提案しています。家づくりについて気になることがあれば、お気軽にご相談ください。