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富山の積雪1.5mで考える耐震等級2と3 自邸で分かった選び方

富山市の小椋建築 小椋です。

自邸を計画進行中です、「構造計算でどこまで耐震等級を求めるか」は本当に悩みました。
結論から言うと、私は耐震等級2(積雪1.5m)を選びました。
理由は「強さ」だけでなく、断熱欠損・意匠(窓)・暮らしやすさまで含めて総合判断したからです。

まず前提:耐力壁の考え方(外周=面材、内部=筋違い)

外周面材、内部筋違いの設計基準で耐力壁を配置

弊社小椋建築の耐震設計は、耐力壁(地震に抵抗する壁)の考え方を基本こうしています。

  • 外周面は構造用面材(合板など)を優先
  • それでも不足する場合に、内部に筋違いを入れる

これを「逆にしない」理由が、現場目線だと結構はっきりしています。

外周に筋違いをなるべく置きたくない理由(断熱欠損)

筋違いは45㎜×105㎜の角材です、その分だけ断熱材が入らず断熱材の量が減り、断熱欠損(断熱が切れる部分)が起きやすいです。
高気密高断熱を狙うほど、この小さな欠損が気になってきます。

内部に面材をなるべく置きたくない理由(施工と設備)

内部側に面材が増えると、

  • 作業がしにくい(大工さんの手間が増える)
  • コンセント・スイッチで穴あけが増える(面材が欠ける)
  • 天井裏で配線やダクトの邪魔になりやすい

こういう現場の「詰まり」が起きやすいんですね。

もちろん実際は、外周に筋違い・内部に面材が来ることもあります。
ただ、私はできる限りそうならないように、設計で粘る派です。

耐震等級の候補:耐震等級2(積雪1.5m)か耐震等級3(積雪1.5m)

当初は、せっかく自邸だし、

  • 耐震等級3(積雪1.5m)を目標

にしていました。
等級2と3のコスト差が「思ったより小さい」ケースが多く、コスパ的に最高等級を狙いやすいと感じていたからです。

でも実際に構造計算すると「気になること」が増えた

構造計算ソフト(ホームズ君)で耐震等級3(積雪1.5m)を回してみると、求められる耐力壁量が増えて、

  • 外周に面材を配置しているが、まだまだ不足で筋違いがまあまあ発生
  • 内部に面材も増える

という、私が避けたい配置が現実的に増えてしまいました。

気になった点1:外周筋違いによる断熱欠損

外壁面へ高性能グラスウール16kを充填しているところ

外周に筋違いが入ると、やっぱり断熱欠損が気になります。
「性能を上げたいから等級3を狙ったのに、別の性能が落ちる」感じが出てきました。

気になった点2:窓を諦めれば解決するが、それでいいのか

外周の筋違いを減らす方法としては、

  • 窓を減らす(=壁を増やして面材を貼る)

が有効です。
ただ我が家は良い景観があったので大きな窓を計画していました。

ここは正直、天秤でした。

  • 景色(窓)を優先するか
  • 断熱欠損を減らすか

私は「暮らしの満足度」を優先して、景色を選びました

気になった点3:LDKの真ん中に筋違いが必要になった

さらに、LDKのど真ん中。
ダイニングとリビングの間に筋違いが必要になりました。

壁ではないので視線は抜けるのですが、

  • 空間が分断される印象
  • 見た目が気になる

この「毎日目に入る違和感」は、住んでから効いてくると思います。

等級2(積雪1.5m)で再計算すると、バランスが一気に良くなった

そこで、耐震等級2(積雪1.5m)で計算し直しました。

すると、

  • 1階2階とも外周の筋違いが大幅に減る
  • 内部面材も数枚程度に減る
  • ダイニングとリビング間の筋違いが不要になった(柱は残った)

という結果になりました。

そして何より、

  • 間取りを変えない
  • 窓の大きさ・数も当初計画のまま
  • 気になっていた断熱欠損と見た目を解消

ができたんです。

この時点で私は、
「耐震等級2(積雪1.5m)」が我が家にとっての最適解だと判断しました。

「積雪条件」が耐震計画に与える影響は想像以上に大きい

雪が多い地域では、積雪荷重が建物にかかる前提になるため、
同じ耐震等級でも必要な耐力壁量が増えやすいです。

実際、耐震等級3(積雪0m)で計算すると、

  • 1階・2階とも外周は面材だけでまかなえて筋違いがゼロ本

という結果にもなりました。
雪のない地域が羨ましい…これは本音です。
雪の無い地域で耐震等級3にしない理由が見当たりません。

そして私は、
耐震等級2(積雪1.5m)は、耐震等級3(積雪0m)よりも強いという整理もできたことで、気持ちが固まりました。
この理由は、こちらの記事で詳しくまとめています

もう一つのメリット:水平構面が減ると断熱の連続性が保ちやすい

耐力壁量が減ると、関連して水平構面(床・屋根の面の剛性)側の要求も軽くなりやすく、
屋根断熱などで断熱工事の連続性を保ちやすい場面があります。

高性能住宅は「小さな欠損を発生させない技の積み重ね」が効くので、
ここも等級2を前向きに捉えられたポイントです。

屋根の重さも、耐力壁量に直結する(自邸はガルバで助かった)

屋根材の重さは、地震時の慣性力(揺れの力)に直結します。

自邸はガルバリウム鋼板の立平葺きだったので、まだ軽い方でした。
ここは選択として助かりました。

一方、瓦は重いので、同じ条件で構造計算すると耐力壁量がさらに増える可能性が高いです。
(このあたりは屋根材の仕様と面積で変わりますが、「重いほど壁が必要になりやすい」は現場感覚としても間違いないです)
ガルバニウム鋼板:約15kg/坪に対し瓦:約142 kg/坪なので9~10倍の重さがあります、自邸に当てはめると23.3坪×15kg/坪=349.5㎏、瓦23.3坪×15kg/坪=3308.6㎏となり、約3tの重量差がでるので耐力壁量がさらに多くなることでしょう。

もし耐震等級で迷っているなら、こう考えると整理しやすいと思います。

  • 雪の条件込みで構造計算した結果をまず見る

  • 間取り、窓計画(景色・採光)
  • 断熱の欠損リスク
  • LDKの見た目や使い勝手
    まで含めて「納得できる落としどころ」を探す
  • そして最後は、家族が毎日気持ちよく暮らせる形を優先していいと思います

耐震は大事です。
でも「強さ」と同じくらい、「住んで幸せか」も大事です。
その両方を見ながら、一緒にちょうどいい答えを探していけたらと思います。

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昭和21年の創業以来、多くの住宅建築を手がけてきました。
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