住宅の坪単価

富山市の小椋建築 代表の小椋です。

家づくりを考えるとき、「坪単価」という言葉を耳にすることが多いのではないでしょうか。しかし、この坪単価は住宅の形状や面積によって大きく変動するため、一概に安い・高いと判断するのは難しいものです。今回は、平屋と総2階住宅を例に、坪単価や総額がどのように変わるのかを具体的に比較し、その違いや特徴をわかりやすく解説します。家づくりの費用感をより正確に把握するための参考になれば幸いです。

平屋15坪、総2階30坪、平屋30坪を比較検討

平屋は割高と聞いたことがありませんか、結論からお伝えすると「同じ坪数で形状が異なる」、総2階30坪:平屋30坪を比較した場合、平屋の「坪単価」と「総額」両方が高くなります、同じ坪数なのに平屋の「坪単価」「総額」が高いので「割高」と考えます。

比較する家の坪数、形状により言い方が変わってくると思うので、模型を使ってわかりやすく3つの住宅の坪単価を解説してみます。

比較する住宅

  1. 平屋15坪、
  2. 1階15坪+2階15坪の、総2階30坪
  3. 平屋30坪

住宅を、基礎、1階部分、2階部分、屋根、に分解して考えます。

各パーツの坪単価

住宅を、基礎部分、1階部分、2階部分、屋根部分、と各パーツに分けてそれぞれの坪単価を考えます。

  • 基礎————–7万円/坪
  • 1階部分(15坪)–60万円/坪
  • 2階部分(15坪)–40万円/坪
  • 1階部分(平屋30坪)–(1階60万円+2階40万円)/2=50万円
  • 屋根————–5万円/坪

と仮定します。

2階部分が40万円/坪と1階に比べて20万円安くなっているのは、1階にユニットバス、システムキッチン、玄関戸、土間タイル、上下水配管が集中していると想定して、その分を20万円/坪として算出しました。

同じく1階部分(平屋30坪)が50万円/坪となっているのは、1階部分の60万円と2階部分の40万円を足して2で割った、50万円/坪を算出しました。水廻り設備のある1階と、設備の無い2階を合わせて平均を取った形です。

平屋15坪の価格

各パーツの坪単価×坪数=各パーツの価格

  • 基礎、  7万円/坪×15坪–105万円
  • 1階、 60万円/坪×15坪–900万円
  • 屋根、  5万円/坪×15坪—75万円

総額、15坪–1080万円

坪単価、1080万円/15坪=72万円/坪

総2階30坪の価格

各パーツの坪単価×坪数=各パーツの価格

  • 基礎、  7万円/坪×15坪–105万円
  • 1階、 60万円/坪×15坪–900万円
  • 2階、 40万円/坪×15坪–600万円
  • 屋根、  5万円/坪×15坪—75万円

総額、30坪–1,680万円

坪単価、1,680万円/30坪=56万円/坪

平屋30坪の価格

各パーツの坪単価×坪数=各パーツの価格

  • 基礎、  7万円/坪×30坪—210万円
  • 1階、 50万円/坪×30坪–1500万円
  • 屋根、  5万円/坪×30坪—150万円

総額、30坪–1,860万円

坪単価、1,860万円/30坪=62万円/坪

表にまとめると

単位
「万円」
基礎1階部分2階部分屋根総額坪単価
平屋30坪21015001501,86062/坪
総2階30坪105900600751,68056/坪
平屋15坪105900751,08072/坪

 

平屋15坪と、総2階30坪の比較

単位
「万円」
基礎1階部分2階部分屋根総額坪単価
平屋15坪105900751,08072/坪
総2階30坪105900600751,68056/坪

大きさが15坪と30坪、形状も平屋と総2階と全く異なる住宅の比較です。
全く異なりますが共通点がたくさんあります。

表の金額を見ると、2階部分の600万円があるか無いかだけの違いで、他の基礎・1階・屋根は同じです。

2階の無い平屋は600万円分少ないので総額が減り、坪単価が高くなっています。2階のある総2階は600万円多いので総額が増え、坪単価が安くなっています。

「坪数も形状も異なる」平屋15坪:総2階30坪住宅を比較すると、大きさの小さい平屋15坪の「坪単価」が高くなり「総額」が安くなります。
「坪単価」は総2階30坪より高いですが、総額が安いので割高ではないような気がします。

総2階30坪と、平屋30坪の比較

単位
「万円」
基礎1階部分2階部分屋根総額坪単価
総2階30坪105900600751,68056/坪
平屋30坪21015001501,86062/坪

大きさは2つとも30坪と同じですが、形状が総2階と平屋の比較です。
表の金額を見ると、総2階30坪の1階部分900万円と2階部分600万円を合計すると1500万円、平屋30坪の1階部分1500万円は同額となっています。

基礎費用は、基礎坪数が15坪→30坪と2倍となり、価格も2倍の210万円となっています。
屋根も基礎と同じく坪数が15坪→30坪と2倍となり、価格も2倍の150万円となっています。

建物の価格は、総2階、平屋共に1500万円と同じです、一方平屋の基礎と屋根は2倍の大きさになっているので、価格も2倍となっています。つまり基礎と屋根の面積が大きくなったのでその分価格が高くなっている。ということになります。

「同じ坪数で形状が異なる」、総2階30坪:平屋30坪を比較すると、平屋の「坪単価」と「総額」両方が高くなります、
同じ大きさなのに平屋の「坪単価」「総額」が高いので「割高」ということになりますね。

平屋30坪と、平屋15坪の比較

単位
「万円」
基礎1階部分2階部分屋根総額坪単価
平屋15坪105900751,08072/坪
平屋30坪21015001501,86062/坪

大きさが、15坪と30坪、形状が2つ共平屋の比較です。

平屋15坪と平屋30坪、大きさが2倍になっているので総額も2倍になりそうですがそうはなりません、例えば液晶テレビは大きさが2倍近くになっても価格が2倍にはならず、大きくなるほど1インチの単価が下がっていきます。
ちょっと変速ですが大きさが変わらないけど性能が変わる商品として、エアコンの6畳用と12畳用は性能が2倍になりますが価格は2倍にはなりません、服や靴こちらに至ってはサイズが違っても同じ価格です。

「異なる坪数で同じ形状」、平屋15坪:平屋30坪を比較すると、平屋15坪の「坪単価」が高くなり「総額」が安くなります。

平屋同士で比較すると、大きさの小さい方が「坪単価」が高いですが、総額が安いので割高ではないような気がします。

平屋住宅は割高か。

  • 「坪数も形状も異なる」平屋15坪:総2階30坪住宅を比較すると、大きさの小さい平屋15坪の「坪単価」が高くなり「総額」が安くなります。
    「坪単価」は総2階30坪より高いですが、総額が安いので割高ではないような気がします。
  • 「同じ坪数で形状が異なる」、総2階30坪:平屋30坪を比較すると、平屋の「坪単価」と「総額」両方が高くなります、
    同じ大きさなのに平屋の「坪単価」「総額」が高いので「割高」ということになりますね。
  • 「異なる坪数で同じ形状」、平屋15坪:平屋30坪を比較すると、大きさの小さい平屋15坪の「坪単価」が高くなり「総額」が安くなります。
    平屋同士で比較すると、大きさの小さい方が「坪単価」が高いですが、総額が安いので割高ではないような気がします。

まとめると「同じ坪数で形状が異なる」住宅を比較した場合、平屋の方が「坪単価」「総額」共に高くなります、この比較の場合が「割高」と言えると考えます。

逆に言うと、総2階の形状が「割安」ということですね。

坪単価に目がいきます。

何だかんだと検討みましたが、やっぱり坪単価の数字が高いほうが高いような気がしてしまいますね。しかし比較する住宅の大きさや形状によってこんな風に変化するのだとわかっていれば、坪単価の数字に惑わされることもなく冷静に考えることが出来るのではないでしょうか。そんな考えの一助となり家づくりの参考になればいいなと思います。